
簿記1級には意味がないからやめとけ。
時間と費用をかけて、合格出来なかった人はこのような感情に抱く人も多いのではないでしょうか?
簿記1級を学ぼうとすると、一般的な相場で10万円以上の費用と最低で半年の学習期間が必要になります。
多くのリソースを割いたのに、結果がでないのはとても悔しい気持になります。

僕自身、簿記1級に不合格で諦めた人間です。
しかし、簿記1級を学習したことはまったく後悔していません。むしろ、学習をしておいて良かったと感じています。また、早めに簿記1級に落ちたことで、自分の適正に気づき早めに方向転換ができてと感じています。
本記事では、簿記1級が意味ない派の主張に耳を傾けつつ、簿記1級に落ちてしまった場合の対応策についても考察しています。
記事のまとめ
- 簿記1級が意味をなさない場面はある
- 経理なら一度簿記1級は学ぶべき
- 簿記1級に落ちたら他の強みを磨けばいい
簿記1級は意味ない派3つの主張

意味ない派3つの主張
- 簿記1級があれば転職できるの嘘
- 中小企業では敬遠される
- 資格持ちでも仕事できない人がいる
簿記1級があれば転職できるの嘘
簿記1級さえあれば、高待遇の経理に転職できる。残念ながらこの認識は間違っています。
経理の転職では、実務経験が重視されます。
簿記1級の未経験者 < 簿記2級の実務経験者
こうした判断をされる場面がほとんど。(一部、例外はあります。)
こうした経験を持つ人は、簿記1級なんて意味ないと思ってしまうのも無理はありません。
簿記1級取得までには、相当の労力と時間が必要ですから、失望の気持ちも大きいはずです。
中小企業では敬遠される
中小企業への転職は、履歴書に簿記1級を書くと煙たがられる場合があります。
経理の仕事は、企業規模によって仕事の優先順位が異なります。
- 大企業 → 財務会計重視
- 中小企業 → 税務会計重視
大企業は株主やステークホルダーへの説明責任があるため、財務会計を重視し会計処理を行っています。
一方で、中小企業は株主と経営者が同じことも多く、税務会計を重視します。
中小企業では、必要最低限の経理処理だけを求められ、簿記1級や大企業出身者が経理文化のギャップに悩むケースは多いんです。
そのため、簿記1級保有者は敬遠されることがあります。

実際に企業文化の違いに悩む経理を多く見てきました。
資格持ちでも仕事できない人がいる
簿記1級を持ちでも、コミュ力が低い人がいます。
会計へのこだわりが非常に強く、考え方に柔軟性がない場合にこうした見方をされることがあります。
僕の会社(非上場会社の経理部)でもこんなケースがありました。
簿記1級保有者の40代半ばの男性が、中途で入社してきました。
入社したころは、非常に期待されていたのですが、次第に「?」マークが付くように。
細かな会計処理の指摘を繰り返すようになり、課長と対立するようになっていきました。
確かに、非上場会社なので会計処理に甘いところが多々あったのですが、指摘をすべて修正していると仕事が回らなくなります。
会社としては優先順位を決めつつ、対応していましたが「中途の方」は「全て正確に今すぐ。」を譲らず、職場の空気が悪くなっていきました。
結果、人間関係が悪化し、中途の方は辞めていきました。
資格を持っていても、仕事の進め方に問題があると「簿記1級は意味ない」と言われてしまう原因になります。
簿記1級取得のメリット

簿記1級取得のメリット
- 上場企業への道が開ける
- 収入が上がる
- プライベートでも活用
上場企業転職の道が開ける
簿記1級の資格は、上場企業からは非常に評価が高いです。
上場企業は連結決算・開示業務といった、非上場企業にない仕事があります。
簿記1級を取得していれば、これらの業務に対応できます。
一般的に、非上場経理→上場経理の転職は難しいと言われています。
しかし、以下の条件があれば十分、上場企業への転職が可能です。
・簿記1級持ち
・年齢30歳未満
・経理実務3年以上

ちなみに、上記は非上場企業から上場企業に転職した僕の後輩のスペックです。
一方、下記は僕の転職時のスペックですが、上場企業には採用されませんでした。
・簿記2級持ち
・年齢30歳で転職活動
・経理実務5年
同じ会社出身で、上場企業転職への成功例、失敗例のスペックの違いは貴重なデータなんじゃないかと思います。
経理経験が長くてもダメ、年齢が若くて簿記1級あるのがベターということです。
収入が上がる
簿記1級を取得すると、毎月の給料に上乗せで手当がもらえるケースがあります。
(最近は、「報奨金」というカタチで一時金で済ませてしまうケースも多いですが。。)
また、昇進の要件になっていたりもするので、簿記1級取得は年収アップの鍵になるといえます。
転職という選択肢も含めると、転職を成功させれば生涯賃金を大きく上乗せできるでしょう。

さきほど紹介した後輩の例では、200万以上年収アップしていましたね。
一般社員 → 課長職
400万 → 600万超え
プライベートでも活躍
簿記の知識は生活のさまざまなところで生きてきます。
例えば、「現在価値」という考え方があるのですが、資産価値を見積もる上で必要不可欠な考え方になります。
不動産とか、金融商品の価値を正確に理解するのに役立つので、若いうちに身に着けておいて損はありません。
合格にこだわると簿記1級のコスパは悪い。

取得までの苦労はエグい
簿記1級取得の資格スペック
合格率 多くの回で10%未満
勉強時間 600時間程度(2級取得済の場合)
期間 半年〜1年半
【参考】資格の学校TACホームページ >> https://www.tac-school.co.jp/kouza_boki/boki_exam_overview_and_difficulty.html
簿記1級取得の厳しさは、合格率や期間を見てもらうと一目瞭然だと思います。
これだけの期間、努力し続けられる人間はなかなかいません。合格率の低さの1つの理由だと思います。
社会人は忙しい
時間を何につかうかは自由。若いうちにやっておくべきことは、簿記の他にもたくさんあります。
- 簿記意外の勉強もしなければならない。
- 遊びの時間も惜しい。
- 恋愛・結婚も考えないといけない。
優先順位は人によってさまざまでしょうから、簿記に時間を割くべきなのか悩ましいですよね。
目標によっては簿記1級取得は諦めるのもあり

正直な話をすると、資格そのものは僕もほしかったです。しかし、努力しきれませんでした。
結果的に僕は簿記1級への合格は諦めました。
しかし、1級の学習は役立ったしその過程で簿記2級合格という成果は残せました。
簿記2級のおかげで、転職にも成功できたと考えています。
上場企業への転職にこだわらないのであれば、簿記2級を取得して転職というゴール設定であってもよいと思います。
簿記1級を学ばないデメリット

もしあなたが、経理の仕事はメインで考えていない。
異動願いを出して、他部署に行くつもりなら簿記1級を学ぶ必要性はありません。
しかし、経理としてキャリアを築いていきたいなら話は別です。
簿記1級を学んでいないと、2つデメリットがあると考えています。
- 経理としてなめられる
- 出世の道が閉ざされる
経理指導が必要になる場面では、きちんと根拠を説明できる必要があります。
説明が苦手な経理は、他部署や同僚からなめられます。

簿記1級は基礎理論から学べるので、言葉の説得力が増します。
また、昇進の条件だったり転職でも簿記1級が求められる場面も多い。
資格取得までは到達できなくても、学んでいることを上司にアピールすることはしておきたいです。

過去、上司に簿記1級を学んでいることを伝え、新しい仕事を任されたことがあります。
簿記1級に落ちたら他のスキルを伸ばせば良い
管理人は簿記1級に不合格となり、自分が努力や勉強が苦手な人間であることに気づくことができました。

さらにいうと、会計がそんなに好きではありません。
そんな僕が経理として生き残っていくためには、どうするか??
ある日気づいたんです。
「ITスキルを強化した経理」を目指そうと。きっかけは、自分が会計システムの操作や仕組みを知るのが好きだったこと。
興味の薄い会計をいやいや勉強するよりも、興味が強いIT分野を仕事で生かしたほうがベターと気付きました。
経理職だからといって、会計の勉強をコツコツするだけがキャリアアップの道ではありません。
簿記1級以外のスキルを伸ばす選択肢があると、不合格だったコンプレックスを小さく感じられますし、新たな目標が見つかるのでおすすめです。

僕はITスキルを伸ばす方向転換をしたことで、よい転職ができました。
簿記2級持ちながら、年収600万という目標を達成し、人気企業に転職することができたんです。
僕が、倍率20倍の転職を成功させることができた戦略はコチラの記事で解説しています。
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倍率20倍の転職を成功させた弱者の戦略とは??
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簿記1級で学んだ知識は自分の中に残っていますし無駄にはなっていません。
もし、簿記1級に不合格で落ち込んでいるのであれば、違った角度で目標を持ってみることをおすすめします。
簿記1級にチャレンジするヤル気があれば、必ずや他のスキルで成功できます。